小説・設定置き場:GE系

2050以前の事にばかり力を入れていました(過去形)

GOD_EATER LATE_AT_NIGHT 第二話

第二話「空白」

 

 

「はぁーい、ここでツクヨミさんの説明ターイム☆」

「前回のお話じゃ色々と分かりづらかったからこの僕が説明してあげようってワケ!優しいでしょぉ?」

「今はまだ語られていないお話だけど、2074年の年末に僕はこの世界の人間……「ネメシス」に所属する人間に喧嘩を売った。それで見事に打ちのめされちゃってね、まあ負けてあげたんだけど!」

「僕は世界を飛び越える神さ、細かい事は気にしない。……ま、あの時無理矢理この世界から追い出されちゃったから、それでちょっとした歪みが発生しちゃったワケ。その歪みは色々な『バグ』を引き起こすものでね」

「で、鈴科イブキちゃんは『バグ』のせいで本当に平行世界から来て……別世界って言った方が君達はしっくり来るだろうねぇ」

「あ、そうそう。ちなみに『元の人格から分離する形でこの世界に来た』ってのはそのままの意味だよ。文字通りの意味だけど……敢えて詳しく言うなら『元の世界の鈴科イブキ』の体に意識が残ったまま、『この世界の鈴科イブキ』が存在しているってコトかなぁ」

「だから本来、人格が分裂して生まれた彼女には実体が無いんだけれどぉ……これも『バグ』の影響かな、ちゃんと触れられるし見えるみたいだねぇ」

「あ、そうそう。今の所、『キリサメリョクノ』と『海音リョクノ』の関連性は不明だよぉ」

「……こんな所かな。解説はこれくらいで良いよねぇ?時雨さん?」

 

 

 

Side.Midori

 

夢を見ている。

『私』と、『鈴科イブキ』と、どこか懐かしい金髪の少女と、見知らぬ黒髪の少女が笑い合う夢を。

本当に、楽しそうだった。アラガミなんて存在しない世界で、ずっと────

 

 

 

「ッ!?」

 

嫌な夢だった。

…いや、とても楽しい夢だった。楽しかったのだが……

 

「…………すぅ」

 

時計を見るとまだ夜中で、鈴科イブキは穏やかな笑みを浮かべながらすやすやと眠っている。

……それに対して私は余程うなされていたのか、体が汗でぐしゃぐしゃになっていた。

……今の、夢は。

 

「……コイツの」

 

とても楽しくて、穏やかな夢だった。

でもただの夢じゃない。あのまま夢を見続けていたら、私はあの世界に……

 

「まさか……ある訳ないだろ、そんなの」

 

口では否定していたが、精神は危険を訴え続けている。

……嫌な感覚が、ずっと残っていた。

 

 

また眠ってあの夢を見たらどうしよう、なんて考えていたら朝を迎えていた。

 

「ン……」

「……結局寝れなかったぜ」

 

 ピピピピ、と朝を告げるアラームに起こされ、身を起こすイブキ。

彼女は眠たげに目をこすった後、こちらを見るなりきょとんとした顔で尋ねた。

 

「寝てねェのか?」

「ああ、怖い夢を見たからな」

 

それを聞いたイブキはにへらと笑った。多分ガキかよとでも思ってるんだろう。

でも本当に怖かったんだよ……仕方ないだろ。

 

「そォイや、当然のよォにオマエの部屋で寝ちまったが」

「ん?いいよ、部屋ないだろ?」

 

……話を切り替えられたが、特にそれを気にする事もなく応対してやる。

ツクヨミという少年が去った後はアナグラを案内したりして、その日は非番だったのでのんびりまったりしてそのまま寝たのだ。

……さり気なく一緒のベッドで寝たが、どちらにせよいきなりこの世界に来た人間に部屋は用意されていないだろうし構わない、と思っていた。けど。

 

「……イや、昨日は自分の部屋らしき場所で目覚めたよォな」

 

ん??

いや、一体全体それはどういう事だ?誰かの部屋にいたとかじゃあなくてか……?

 

「……や、思イ出せねェ。気にすンな」

「………お、おう?」

 

何だか不可解な事が起こっている、……気がするぜ。

実害が無ければ良いのだが……

 

「あ」

「ン?」

「……思い出した」

 

……のんびりしていたが、今日は仕事だった。比較的時間はあるが、すっぽかす所だった。

…………イブキ、どうするか。待っててもらうか……いや周りの目があるか、じゃあ一緒に任務に行くか……?

 

「何をだ?……………オイ、聞イてるか?」

「今日仕事だった」

「……オマエが?仕事?まだ大人じゃねェだろ」

「この世界では早くて私ぐらいの歳からこの仕事を始めるんだぜ」

 

むくりと起き上がり身支度を始める私に困惑しながら問いかけるイブキ。……どうやら、結構常識は違うようだ…当たり前だが。

 

「へェ、どンな仕事なンだ?」

「あぁ……そういや聞いた事なかったっけか」

 

まあ私は人間じゃないし、この仕事の為だけに生まれてきたようなものだからな。そこは誇ってる。

……というどうでもいい話は置いといて、ドヤ顔で宣言してやった。

 

「神を喰らう簡単なお仕事だぜ」

 

…………なんだか、宣言した途端にイブキの顔がよく分からないものになっていく。

困惑とか、ドン引きとか……なんかそういう言葉が似合う感情が混ざったような…

 

「……オマエそれマジで言ってンの?」

「本気と書いてマジだ」

 

止まっていた手を動かしながら、ますます困惑していくイブキを説得(?)する。

ただまぁ……私しか頼る人がいないからか渋々納得してくれたようで、

 

「……神なンか食っちまウのな…」

「まあ正確には神を模した巨大生物だけどな」

 

なンだよそれ、と言われたが私だって由来についてはよく知らないから仕方ない。

荒ぶる神々アラガミ、とかくらいしか。

 

「……さて、準備終わったぜ」

「…仕事、なンだよな。オマエ一人で行くのか?」

「………………」

 

それなんだが、さてどうしたものか。

口ぶりからして自分の部屋がある可能性は無きにしもあらずだし、別世界から来たなんて前例が無さ過ぎて想像が全くつかないのだが……赤い腕輪が何で付いてるのか、適合試験はどうしたのか全く分からねえし……でも、このノリなら神機もあるかもしれねえ。

とりあえず……

 

「武器があったらお前も来るか?」

「アるのか?」

「ある可能性はある、な」

「……なら、行く」

 

よし、決まりだ。

じゃあ早速神機保管庫に行って、イブキの腕輪をアクセスさせてみるか……。

 

「な」

「……んー?どした?」

「手、繋イでもイイか」

 

どこか頼りなさげに尋ねられ、迷わず「いいぜ」と答える。

じゃあと呟いて、イブキは私の右手をそっと握りしめた。

その時だった。

 

 

──私に協力してくれてありがとね!みどりんっ!──

 

 

「……え、今のは…?」

「な、なンだ今の……!?」

 

私に笑いかける茶髪のサイドテールの少女が、見えた気がした。

 

 

続く