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小説・設定置き場:GE系

2050以前の事にばかり力を入れていました(過去形)

GOD_EATER DAYBREAK 第四話

DAYBREAK 本編

第四話「沙夜」

 

 

 

Side.Saya

 

 

──僕は、「海音リョクノ」としてこの世に生まれた。

 

昔いた施設……貴方もいた所ですよ。そこの研究者達に薬物を投与されましてね、体に激痛が走ったかと思えば僕は二人になっていたのです。

……意味が分からない?ふふ、当然。昔は僕も姉さんと同じような見た目でしたし、その時の僕が姉さんを見て「自分が二人いた」と認識しても何らおかしくはないでしょう。

そうではない?二人になったとはどういう事だ、と?……姉さんが分裂した、という事ですよ。…信じ難いという顔をしていますが、僕は「人間から分裂して生まれたヒト」だからこそ研究者達に目を付けられたのですよ。

 

──あの日から、僕は幽閉される形で実験を受け続けた。

 

それから少しの間、僕は姉さんと日々を共にしました。

ええ、とても楽しかったですよ。何しろ、僕には姉さんしかいませんでしたから。

その間は合間合間に実験を手伝っていたのですが、どうやら時間の無駄と判断されてしまったようで。

……お察しの通り。僕は姉さんから引き離され、実験を延々と受け続けました。体が男性的なのはそのせい、ですね。

それから……ですか?……死んだんじゃないですかね、僕は。P73偏食因子のおかげで回復し今を生きていますが……おや、そんなに驚く事ですか?

そうですかねぇ……。ともかく、それからは不気味がられるようになりましたね。どうしてかは知りませんが。

 

──あの日僕は、姉さんに裏切られた。

 

それからしばらくして、「あの日」がやってきました。

……分かりませんか?アラガミが来たあの日ですよ、あの日。

あの悲劇のおかげで僕達は施設から抜け出し、そして今を過ごす事が出来ています。

…気に病む事はありませんよ。どう足掻いても、あの時の僕達にアラガミを退ける力はありませんでしたから。

では話を戻して……施設を抜け出した後に僕は姉さんと再会しました。嬉しかったですよ、とても。

ですが、僕が変わり果てていたからでしょうね。それはもう酷く怯えた様子で……ああ、姉さんの片目が潰れていたのを思い出して僕も潰したんでした。どうしてあんな顔をしたんでしょうねえ、姉さんに片目がないなら僕にもいらないのに……。

……それからヘリが来るまでどうしていたのかって?姉さんは何も答えてくれませんでしたが……極東支部に着いてから、やたらと僕を避けるようになりましたね。

 

 

 

Side.Malice

 

 

「……酷い話だと思いません?」

「…あ、ああ。だが……」

 

自分の目を潰したと、確かにサヤは言った。

到底理解し難いが……自分の価値観と相手の価値観は違うと自分に言い聞かせる。

 

「……それが貴様の価値観なら、私は口を出すべきでは無いのかもしれない。

……しかし、な」

「しかし?」

 

確かに、サヤへのリョクノの対応は異常だ。

サヤがどう思うかを全く考えていない……ましてや長い間引き離されていて、サヤはようやく会えたと思っていたのにあの対応、やはり気に食わない。

だが、リョクノにも避ける理由があるのではないか?

 

「……いや、貴様に言うべきでは無いのかもしれない」

「そうですか」

 

嗚呼…と呟き、ソファから立ち上がる。

もう落ち着いたのか、こちらを見上げるサヤは余裕のある表情をしていた。

 

「……話してくれた事を嬉しく思う。

私は少し用事が出来た、……もう大丈夫だな?」

「ええ。こちらこそ、有難うございます」

 

その言葉に頷くと、私は部屋のドアを開けた──

 

 

「貴様、さり気なく居座るな」

「おや、うっかりしていましたよ。すみませんね」

「反省しているのか……?」

 

 

 

 

Side.???

 

 

あの時から、沙夜はサヤになった。

だけれど、沙夜はまだここで生き続けている。

 

 

 

続く