小説・設定置き場:GE系

2050以前の事にばかり力を入れていました(過去形)

GOD_EATER LATE_AT_NIGHT 第四話

第四話「輪廻」

 

 

 

Side.Midori

 

 

「……? そちらの方は?」

「鈴科イブキ、ってんだ」

「…どォも」

 

やはりというかなんというか、エントランスでの任務受注時にヒバリさんの目に引っかかった。

一昨日までいなかったからな……無理もない。

 

「え、えっと……新入りなんだよ、コイツ。私がレクチャーしてやろうと思って……」

「そうなんですか?……でも、人が新しく来たとは聞いていませんが…」

 

だよな。

……うん、どうするかな。イブキ、「どうするんだよ」みたいな目で見ないでくれ。私だって困ってる。

…………よし、迷った時私は既に決断している。

 

「えっとな、コイツ別世界から来たらしい」

「……、…?」

 

困惑された。

……うん、だけど私が言いたいのはそこじゃねえ!それもだけどそこがメインじゃねぇんだなこれが!!

 

「まあ、これは分からなくても良いんだがよ……私も一昨日初めて会ったんだよ。本人曰く一昨日より前は別の世界にいたはずらしくて……ここからがミソなんだがな」

「は……はい」

「一昨日まで影も気配も無かったヤツに、腕輪…それに神機。部屋も用意されてるっておかしいと思わねえか?……言いたい事、分かるな?」

 

……少しの間、沈黙がこの場を支配する。

まあ……普通理解できないだろうけど、事実だし多分大丈夫だろう。上手く行けば腕輪の認証という流れに……

 

「じゃあ……帰投した後に腕輪の認証をお願いします」

「よし!じゃあ決まりだな。……発行されてる任務は?」

「ええ、少々お待ちください…イブキさんもいる事ですし、平原地帯でオウガテイルとコクーンメイデンを一掃、という内容の任務が最適だと思われます」

 

どうやら上手く行ったようだ。…発行されている任務を尋ねると、ヒバリさんは目の前のコンピュータを操作して告げる。

しかしまぁ器用だよな……等と感じながらイブキの様子を見やると、何やら険しい顔をしていた。

 

「じゃあそれで……って、どうしたんだ?」

「…………イや、緊張してるだけだ」

「そっか」

 

まあ、無理もないだろう。元の世界がどういう世界だったのかは知らんが、戦うのは初めてだろうしな。

 

「受注、完了しました」

「ん、ありがとさんな。

じゃ、イブキ。行くか」

「…オウ」

 

お気を付けて、と声をかけるヒバリさんを後に、私達は回復錠等を用意した後出撃ゲートから任務へと向かった。

 

 

 

 

「オイ!コレ全然言ウ事聞かねェンだが!!」

「………………、押さえつけるな!武器として扱うんじゃねえ、一緒に戦う仲間だと思え!息を合わせるんだ!!」

 

前線でオウガテイルを相手に苦戦しているイブキをブラストで支援しながら私は叫ぶ。

……そういや、相棒は最初から私の事を相棒と思ってくれていたなぁ、なんて思い出した。

 

「なかなかって……そりゃお前の意思はアイツに伝わった方が良いだろ」

「何か言ったか!?」

「何も!!」

 

『イブキの神機』と会話しながら叫び、弾切れを起こしたので周りのオウガテイルやコクーンメイデンをヴァリアントサイズで切り刻む。

……どうやら意識した事で、『イブキの神機』も多少嫌悪感は無くなったらしい。

 

「ホントに動きやすくなった……流石ベテラン、かァ!?」

「まぁな!!もっと褒めてくれても良いぜ!!」

 

スターブレードアラガミに叩きつけるイブキ。……アレを倒したら、次はスナイパーについて教えるか。

ちゃんとコクーンメイデンは残してあるし……と。

 

「ふ……、やっと死ンだか」

「おい、イブキ。ちょっとこっち来てみろ」

 

手招きをすると、アァ?とイブキが呟く。

……今更だが口悪いな、良いけど。

 

「アレ、地面から動かないんだ」

「……それが?」

「狙って撃ってみろ」

 

む……無理だろ、と弱音を吐かれたがスナイパーだから大丈夫だ、それにアイツ動かないし、と説得する。

 

「それはそォにしても、コレ……どうやって銃に変エンだ」

「言ったろ?ソイツは仲間、そして相棒だ。

変えるってよりか変わってもらうって感覚がしっくり来ると思うぜ」

 

……相棒は初心をちゃんと覚えてるかね。ま、意識すりゃ『神機側』もちゃんと見えるんだがな……と。

 

「……頼む。力を貸してくれ」

 

そうイブキが呟くとまるで弾け飛ぶように神機の黒い触手が広がり変形し、そして銃型へと形を変える。

……こう素直に言う事聞くって事は、根はいい子なんだろなぁ、イブキは。

 

「ッ……すげェ」

「よし、撃ってみろ。弾はあるはずだ」

 

と言った直後に(いや、言っている最中に)イブキは発砲した。

……絶対狙ってないよな、これ。

 

「や、やべェ外した気付かれた……!!」

「落ち着け落ち着け届かない距離だからさ。

これはな、ズーム出来るんだ。色々触ったら出来る筈だから……まぁやってみろ」

 

そう教えた後も、イブキは試行錯誤していた────

 

 

 

なんだかんだあって、任務は無事終わった。

今はコアの回収を終え、物資の回収中……なのだが。

 

「……ン?これは…」

 

何やらイブキが色々呟いていたが、……私はそれどころじゃなかった。

ここにあるのは明らかにおかしいものを、見つけてしまった。

 

「……アレは」

 

赤黒く光る、盾の破片。

近くに駆け寄り見てみると、それは紛れも無く相棒……海音リョクノの神機だった。

 

「………………、」

 

まさか、そんな。

まさか相棒がやられたのか?……でもこの状態だと、私の意識も消えているはず。

これは一体……

 

「…持ち帰るか、念の為」

 

盾の破片を拾い上げた、その瞬間。

 

 

『俺は、アイツを助けたいんだ』

『…それに、無意味な訳ねえ』

『…………相棒…』

 

 

知らない筈の、知り得ない筈の私の記憶が流れ込んできた。

 

「ッ、……!?」

 

気味が悪い。まずはそんな感想が浮かんだ。

……相棒に似た銀色のアラガミ、相棒に似た黒服の少女、そして黒い槍に貫かれた私によく似た少年。

確かに、確かに「実体がないなら男にだってなれるんじゃないか?」と思い立ってはいたが、もし本当にそうなら……これは……。

……何なんだ、訳が分からない。

 

「……とにかく、回収して合流だ」

 

 

それを抱えたまま、イブキの元へ行くと。

 

「オマエも何か拾ったのか……?」

 

イブキもまた、何かを拾ったらしかった。

 

「……イブキ、それは?」

「誰かの写真みてェだ」

 

少し見せてもらうと、確かに写真だった……だが、大きく二つに破られている。

……金髪の少女と白髪の青年の写真、青みがかった白髪の女性の写真、ピンク色の髪の少女の写真、真っ白な青年と赤髪の青年の写真、黒髪の少女と紫髪の少女と赤髪の少女の写真、白髪の少女の写真、黒髪の少年少女の写真、赤髪の少女の写真、……そして、私の写真。

 

「な、ん」

 

どれも茶髪の人間の所から破られており、誰が写っていたのかは分からない。

……だけど、私に茶髪の知り合いがいた覚えはないし、写真を撮った覚えもない。…だが、感応現象で見えたあの茶髪の少女は、私の名前を呼んだ。

まさか、まさかとは思うがあの茶髪の少女は、本当に私を知っているのではないか……?

 

「オイ、どォし……」

『ミドリさん!イブキさん!聞こえますか!?

大型のアラガミの反応がそちらに近付いています!!』

 

ヒバリさんからの通信が入ったが……マジ、かよ。やってられねぇな、一人ならまだしもイブキがいるのに無茶はできねえ。

 

「ど……どォすりゃ良イ!?」

『そちらに二名向かってもらいました、その方々が到着するまで何とか持ち堪えて下さい!!』

 

……逃げるが勝ちってヤツだな。

私が足止めして、イブキを先に先に走らせるか……

 

「ッ、なンだ、コイツ」

「イブキ、お前は走れ。とにかく走れ。

私が足止めするからお前は逃げるんだ、良いな」

 

目の前の巨大なアラガミ……アマテラスを見て、私はそう呟いた。

 

 

続く