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小説・設定置き場:GE系

2050以前の事にばかり力を入れていました(過去形)

GOD_EATER LATE_AT_NIGHT 第五話

ちなみに前回拾った盾の破片は無理やりポケットに押し込んであります

 

第五話「意思」

 

 

 

Side.Ibuki

 

 

何なんだ。

本当に、何なんだ。こんな事になるならついていくなんて言わなければ良かった。

 

「こんの……止まれぇっ!!」

 

背後からミドリの叫び声、鎌を振る音、繊維のようなものが千切れる音、巨大なナニカが蠢く音……それら全てが混ざった音が、聞こえる。

どうしてこんな事に、どうして、どうしてと俺の思考は出るはずもない答えを追い求め続けていた。

 

『明日はみんなでファミレスに行こうか!だぜ!』

 

今はもう手の届かない世界にいる少女の事を思い出す。

……俺がいなくなって心配していないだろうか。ああでも、人格が分離とか言ってたか…じゃあ、元の世界では、変わらず「俺」が、「鈴科伊吹」があの少女と笑い合って過ごしているのか。

どうして。

 

「……ッ、ははは…」

 

いつの間にか走る為の力が抜けてしまい、その場にへたりと座り込む。

どうして俺だけが。「鈴科伊吹」 は元の世界であの少女と笑い合って平和に過ごしているのに、どうして俺だけが。

どうして。

 

どうして自分だけがこんな理不尽な思いをしなければいけないのか────

 

「ッ……!?イブキ、イブキ!!」

「……あ」

 

やり場のない疑問に頭を埋め尽くされ、必死に私の名を呼ぶミドリの声に気付いた時には…既に、巨大な光線が眼前まで迫っており。

咄嗟に神機を構えようとしたが、もうダメだと思った。

 

 

 

「おい、大丈夫か……って、お前」

「……生きてる、?」

 

腕に強く鋭い衝撃が走ったが、何とか生きていた。

視界の向こうでは、ミドリが俺と同じように盾を構えてこちらに呼びかけている。

……俺と同じように?

 

「お前、盾出せたのか……って、危ねぇ!?」

 

アラガミとやらの攻撃を慌ててかわし、神機を構え直すミドリ。

……確かに、俺は盾を展開できている。でも、気付いた時にはもう遅かったはず……

まさか、「神機」が自ら盾を展開したのか?

 

「……オマエ、すげェな」

『それほどでも』

 

俺によく似た声が、頭の中に響いた気がした。

…正直驚いたがもたもたしている暇はない。

 

「早く逃げねェと……」

「テメェがこの任務の受注者だな?」

 

神機を構え直した瞬間、突然背後から気の強そうな女の声がした。

驚きのあまり咄嗟に振り向くと、赤みがかった長い白髪の女性と少しくすんだ白髪の帽子の少女がすぐそこに立っていた。

長い白髪の女性は、こんな状況だというのに不敵に笑っていた。もう一人の少女はどこか憂うような顔をしている。

 

「オ、オマエら……」

「助っ人、です」

「そ、ソイツの言う通り。時間がねぇから自己紹介だけする、僕はシル=サディスト。シルとでも呼べ」

「私はマリシア=エイデン……です」

 

シルとマリシア……?あのツクヨミだかツクダニだかをマザーって呼んでたらしい二人か。

まさかその二人に会えるとは……世界って狭いんだな…。

 

「マリシア、遠距離で補助しながらソイツ守っててくれ」

「分かりました」

 

そう言って、シルはアラガミの元へと走り出した────

 

 

 

Side.Midori

 

 

「フフ、テメェらしくねぇな?アラガミ相手に苦戦するなんて」

「買い被りすぎだ!普通に苦戦するっつー……のッ!」

 

加勢しに来たシルに、アマテラスの攻撃をガードしながら私は叫ぶ。

……いや、マジで。いくら神喰いが本業だと言っても一人じゃ限界ってもんがある。

 

「それもそうだな。……とっととケリ付けるぞ」

「ああ、そうだな…!!」

 

そう叫ぶと盾を閉じ、私は以前にブラッドの隊長さんと仲良くなった産物──ブラッドアーツ、「ハーデスエッジ」を駆けるように発動する。

そしてそれに合わせるようにシルが大きく飛び上がって(彼だから成せる技)アマテラスの頭上に散弾を浴びせ、おまけとばかりにショートブレードで突き刺すように滑空した。

そして、遠くから援護しているであろうマリシアのアサルトがアマテラスにいくつか直撃する。

……多分終わっただろうなと思った、が。

 

『…まだ。元の世界に帰るまで、みんなにまた会うまで…私は、終われない……!』

 

ソレが『アマテラス』の意思なのか、あるいはヒトだった時の思いの残滓なのか…そもそもコレは元々ヒトだったのかさえ分からないが。

その声を聞いて……油断、してしまった。

 

「あ」

 

気が付けば、アマテラスは腕触手を地面に突き刺していて。

それは地面から棘を突き出す合図、で

 

 

 

 

「もしもーし、起きろ。終わったぞ」

 

シルにリンクエイドをされて、目が覚めた。

……あんな時に油断するなんて、私らしくもないな……。

 

「……テメェ、どうしたんだよ。いきなりぼーっとして」

「…………あぁ。いや、何でもねえよ…ほんとどうしちまったんだろな私」

 

どうやら本当にケリは付いたらしく、周りを見渡すがアマテラスは影も形も無くなっていた。

……これで無事に帰れる。アラガミもいなくなったからヘリも近付けるだろうし。

 

「そーいや、イブキは無事か……?」

「イブキ?……あの紫髪のか、アイツなら大丈夫だ。だよな?二人とも」

 

そうシルが呼びかけると、少し離れた所からイブキとマリシアが多少疲れた様子で歩いてくる。

……イブキを庇ったのか普通に被弾したのか、マリシアは軽い傷を負っていた。だけどまぁ、平気そうだし大丈夫……かな。

 

「はい、シルさん」

「俺も大丈夫だ……ミドリは、大丈夫なのかよ」

「ん……ちょっと気ぃ失ってただけだ、大丈夫」

 

問いかけに答えると、緊張の糸が切れたのかイブキはへなへなとその場に崩れ落ちた。

……想定外の事がいっぱいあったし、かなり疲れただろな。帰ったら休ませてやらないと……

 

「よし、じゃあ帰るか。長居する必要もねえだろ」

「ん……そうだな」

 

シルと私の言葉を合図にするように、私達四人は遠くに止まっているヘリへと向かい始めた。

 

 

 

「……なんでブラッドのメンツと赤の他人が写ってんのかね。見た所黒い腕輪だが僕はこんなヤツ知らねぇし…それにブラッドっつっても服の色が…」

「……?どうした、シル」

「ん?……いや、何でもねぇよ」

 

 

 

続く