小説・設定置き場:GE系

2050以前の事にばかり力を入れていました(過去形)

Twitterで書いたコウリョク

神機使いは、時に協調性も必要とされる。

しかしながら、海音リョクノという新入りの少女にはそれが致命的な程に欠けていた。

 

 

なので、指導者の藤木コウタがそれを何とかする為に頑張っている訳だが。

 

「……戦う仕事なのに、仲良くする必要ってあるのかよ」

ラウンジに連れられた彼女は、自分の時間の邪魔をされたからかただひたすらに不機嫌そうな顔をしていた。

 

「……私は考え事をしたいんだが」

「んー………じゃあ、考えた事を俺に話してみるってのは?勿論嫌じゃなかったら、だけど」

「………」

 

真っ直ぐ目を見つめてそう提案するコウタを見て、リョクノは少しの間考えを巡らせた。

思えば、自分は何でも一人で片付けようとしていた。今までずっとそうしてきたから。そうせざるを得なかったから。

だが、コウタは「俺に話してみるのは?」と言った。相手がそう言うのなら、少しくらい頼ったって良いのでは?

少しくらい関わろうとしても良いのかもしれない。あの時のように。

 

「……コウタさん、だったよな」

「うん」

 

だが、もしもあの時のように目の前のこの人間が消えてしまったら?

自分が関わる事で、コウタもかつての妹のように変わり果ててしまったら?

ここはあの場所とは違う、そんな事は有り得ない。

そう分かっていても、怯えだす思考は止められなかった。

だから、

 

「…お前も、皆も、誰もいなくならないよな」

 

そんな悲劇のヒロインじみた弱音を、吐いてしまった。そうしてしまった後に、海音リョクノは自分の言葉にはっとする。

お前もいなくならないかなんて、まるで恋人に向けるような言葉を吐いてしまった。

自分は恥ずかしいだけで済むが、そんな言葉を向けられたコウタはきっと困惑したに違いない……とリョクノは頭を抱えた。

やってしまった。そんな言葉がぐるぐると頭を回る。でも、

 

「俺は、いなくならないよ」

 

そんな言葉が聞こえて、リョクノは驚きに満ちた目で顔を上げた。

 

「絶対に生きて帰るし、誰も死なせない。勿論、お前も」

 

それでももしかしたら、いつか彼は死んでしまうかもしれない。誰かを死なせてしまうかもしれない。
だけれど、コウタの思いに嘘偽りは無いのだとリョクノは信じた。

 

「ありがとな」

 

かつての妹はもういないし、きっとこれからも戻ってくる事はないのだろう。

だけれど、その事だけに縋っていては前に進めない。

周りを見渡せばこんなにも人がいるのだと、そしてその人達は自分の事を大事に思ってくれているのだと彼が教えてくれた。

その人達の為にも、前を向かなければ。

 

「私も死なねえように頑張るからさ、……話、聞いてくれてありがとな」

「おう」

 

ほんの少しだけ口元を緩めると、コウタもにっと笑い返す。なんだか照れ臭くて、さっきよりも大きな笑みをこぼしてしまう。

 

「そうだ、冷たく当たってばっかでちゃんと自己紹介できてなかったな。

私は海音リョクノだ。よろしくな?」

 

すっと右手を差し出すと、コウタもまた右手を出して私の手を握る。

自分が笑顔を出すのは抵抗があったけれど、握手をする彼の暖かな笑顔を見て『笑うのも悪くないかも』、と思うのだった。

 

 

 

色々無理あるのはゆるして。