小説・設定置き場:GE系

2050以前の事にばかり力を入れていました(過去形)

GOD_EATER DAYBREAK(新) 第一話

試験的に練り直したものです

 

 

 

序章

 

 

廃墟と化した民家に、身を隠す少女がいた。

今までその少女の「世界の全て」だった研究施設がアラガミに喰い荒らされ、燃えて崩れ去っていく。

少女、海音リョクノが外で初めて見たものは紅色の夜明けだった。

 

「やっと」

 

突如として真後ろに声が響き、驚くあまり僅かに甲高い声が漏れる。さっきまで誰もいなかったはずなのに、と海音リョクノは体を強ばらせた。

ピリピリと感じる雰囲気はまるで──かつてガラスが嵌っていたであろう窓の向こうで、施設の残骸を貪るように喰っているアラガミに似ていて。

振り返れば死ぬ、そんな根拠の無い恐怖が彼女の頭を支配する。

……だが、どうやら体の方はそうでもなかったらしい。彼女の体は背後の『人間』の正体を確かめようと、恐る恐る首を後ろに向けた。

そこにいたのは見覚えのない男……否。

 

「やっと会えましたね、姉さん」

 

変わり果てた、妹だった。

 

 

 

第一章

刺激物 ~ Freedom_from_loneliness

 

 

────同日昼頃、極東支部にて

 

今は秋の中頃だと、誰かが言った。

 

「…………」

 

適合試験を終えた海音リョクノが試験場の外へと出ると、『海音リョクノの妹』である海音サヤが待ってましたと言わんばかりの笑顔で待ち構えていた。

めんどくさいヤツに捕まった、とリョクノはわざと聞こえるように舌打ちをする。

 

「姉さん、痛かったですか」

「まあまあ」

 

彼女の舌打ちを聞いても全く気にしていないという様子で話を切り出すサヤ。

…適合試験とやらの痛みの事だろう。思えば、パッチテストと称する割には痛かった気がする……と、リョクノは先刻までの出来事を思い返していた。

 

「僕達は偏食因子の定着が常人より遅いようで」

「ひとまとめにすんな」

「では僕と姉さん、ならどうです」

「妹面しないでくれ……」

 

適合試験を先に終えていたサヤは、支部長であり博士でもあるペイラー・榊から話を聞いていたのだ。

『君達姉妹には特殊な体質があるらしい、そのせいで偏食因子の定着が遅れているみたいだけど…気にする事はないよ』といった内容の話を、だ。

リョクノは自身の体質について知る由もないが、サヤはとある事情から自分自身の事を嫌でも聞いてきた。それ故、自身の体質についてはこれでもかというくらい理解している。

 

「それはそうと、定着には約1日かかるようですが……姉さんはどうします?」

「寝る」

 

問いかけに答え足早に立ち去ろうとするリョクノ。

なら自分も姉のリョクノと行動を共にしようと後を追うサヤだが、それから逃げるように姉は足を早めた。

 

「姉さん」

「来るな。お前の声なんて聞きたくない」

 

強い拒絶に、思わず自身の足を止めた。

廃墟で再会してから、ずっとリョクノはあんな振る舞いをしている。サヤはそれが腑に落ちなかった。

 

「……少しくらい変わったからって、こんなの」

 

廊下の先のエレベーターに消える姉の後ろ姿を見て、サヤは無意識のうちに自身の拳を強く握り締めていた。

 

 

 

続く